ミルフィーユヴィレッジとバーコードシティ
よく冷えた次の朝、外に広がるのは壮大なスケールの雪景色。手前の景色は秋、奥の景色は冬。まるで季節のない世界。足元を見ると、草を覆った霜が一面に広がり、冷たさを実感できる。この幾層にも重なる景色と色の連なりは、まるでミルフィーユのように繊細で気高い。ミルフィーユが1000枚の葉の重なりを示すように、この村には至るところに自然と人の重なりがある。それはむしろ、自然と人の『寄り添い』と言ったほうがいいかもしれない。
高くそびえ立つ山のふもとで、苦労して人々が土地を拓き、村をつくり、毎年、豪雪を乗り越えながら畑を耕す。自然の恩恵と地域の仲間の協力がなければ、暮らしていけない生活。そんな環境の下、生命力豊かに野菜が育ち、人々が収穫し、家庭の台所に運ぶ。食材そのままの甘みを活かして調理されたお料理は、食卓に運ばれ、家族の心を温める。そんな風に寄り添って一生懸命生きる姿に共感した人々が、常連客となり、遠くの海から鮭を送って応援する。ここには、自然と人の統合された生活がある。日常の色々なモノが互いにつながりを持ち、時間も積み重なり、依存関係を保ちながら生きていく。
一方で、ビルとビルが平行に聳え立つバーコードシティは、季節や場所が変化しても、動じない。無機質で、温度の感じられない世界。狭い土地の中で、自分の居場所を確立させるためにひしめき合い、互いに圧迫しあって、やっと個人は存在できる。孤独で、土地に根を張らない。お金を出せばどこか知らないところの食べ物がすぐ手に入る。他人のことには一切関与しない関係性には制限があり、その場限りの依存関係があればいい。
都会の生活の欠点に気づいた時、白馬の魅力を感じる。
感じるだけでいい。
移住はできないけれど、来たくなる。

